ミニヴァー夫人 (1942) : Mrs. Miniver

ウィリアム・ワイラーが、今次大戦に従軍する前に監督した映画で、1942年度アカデミー受賞作品である。ジャン・ストルーザーのスケッチを素材として、共同脚色者ジョージ・フローシェル、アーサー・ウインペリス、クローディン・ウェストとジェームズ・ヒルトンの4人が脚本を書いた。撮影はジョゼフ・ルッテンバーグが監督。主演はグリア・ガースンとウォルター・ピジョンでテレサ・ライト、ディム・メイ・ホイッティ、レジナルド・オーウェン、ヘンリー・トラヴァース、リチャード・ネイ、ヘンリー・ウィルコクスン、ライス・ウィリアム等が助演している。なおこの映画に関するアカデミー賞は、作品賞のほか、監督賞、脚色賞、撮影賞、主演女優賞、助演女優賞(テレサ・ライト)で、プロデューサーのシドニー・A・フランクリンはアーヴィング・サルヴァーグ記念賞を与えられた。

ミニヴァー夫人 (1942) : Mrs. Miniverのストーリー

ロンドンから程遠くないイングランドの小さい町ベルハムに、ミニヴァー夫妻は幸福な家庭をもっていた。ナチが始めた戦争にいつ英国も加わらねばならぬか分からないが、ベルハムは平和で、駅長バラードもバラの花を展覧会に出そうと丹精している。ミニヴァー夫人(グリア・ガースン)がロンドンで帽子を買って帰ると、駅長はバラの花に『ミニヴァ夫人』と命名させてくれと頼むのだ。その日クレム・ミニヴァー(ウォルター・ピジョン)も身分不相応な自動車を買い、帽子にぜい沢した夫人と共にテレるのであった。ミニヴァー家には小さいトピーとジューディのほか、オクスフォード在学中の長男ヴィンがあった。

駅長がバラを出品すると発表したために町は騒ぎ立った。というのは毎年1等賞は町のお邸の老夫人レイディ・ベルドンが取る習慣だからである。翌日、老夫人の孫娘キャロル(テレサ・ライト)はミニヴァー夫人を訪れ、祖母を失望させないで頂きたいと頼み込む。大学から帰宅していたヴィン(リチャード・ネイ)は、下層勤労者階級の生活権について大学研究している折でもあり、ベルドン夫人の封建性を非難して、キャロルと議論したのであるが、それが縁で2人は心をひかれ合う。

ダンス会のあった翌日、教会では牧師が英国の参戦と国民の覚悟について説教した。ミニヴァー家のお手伝いグラディスは早速看護婦に志望して出征する。ヴィンも空軍に志願を決意し、キャロルにその事を告げ、愛を告白する。ベルリドン老夫人は孫が中流の平民の息子と親しくするのを好まなかったくらいだったが、戦争は老夫人の心持ちを変えたとみえ、キャロルとヴィンの婚約が発表される。その夜ヴィンには召集令が来た。クレムはダンケルクの危機の報を聞くと、町の人々と共にモーター・ボートでテームズ河を下り、ダンケルク撤退の英兵救出に力添えをした。夫がダンケルクへ行っている留守、不時着して傷ついたナチの飛行士が台所に逃げ込んでいるのに、ミニヴァー夫人は驚いたが、沈着に事を処理して彼女は男を警察に渡す。

休暇で帰ったヴィンはキャロルと結婚し、新婚旅行から帰ると花の展覧会が開かれたところで、ベルドン夫人は1等賞を与えられたが、夫人はそれを駅長に贈った。空襲警報が鳴りヴィンは飛行場へかけつけ、ミニヴァー夫人とキャロルは帰宅の途中、空襲にあった。キャロルは重傷を受け、ミニヴァー邸も倒壊した。ヴィンが帰って来た時にはキャロルは死んでいた。半壊した教会で牧師は、勇気をもって戦えと説くのであった。

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